『仕事は楽しいかね?』は、マクドナルド、3M、P&G、コダックなど大手企業を顧客に持つマーケティング・リサーチ会社を起業したデイル・ドーテン氏による一冊。
”仕事は楽しいかね?”というタイトルを読んで、心に引っかかりを感じた人も多いのではないでしょうか。
なんとなく続けている仕事をこなして日々は過ぎ、気づけば十数年。自分は何が誇れるようになり、何を達成したのか…
その思いに気づかないふりをして家族やローンの返済、その他諸々の義務のために日々働いていませんか?
何かのタイミングで、”これからは自分でチャンスを見出し、大胆かつ勇敢に夢に向かって生きるぞ”と意気込みながらも、やはり新しい環境に身を置くことに躊躇してしまい、一歩を踏み出せずにいる方にこの本をおすすめします。
この本の主人公の一人である「私」は同じような悩みを持つ30代半ばのサラリーマンです。
その「私」が乗る予定だった飛行機のフライトが吹雪でキャンセルになったところから本書は始まります。
その空港で起業家、発明家として富を築く老人「マックス」に出会い、翌日の運行まで一夜限りの講義を受けるという流れで話が進んでいきます。
その講義の内容がとても興味深いのですが、特徴としてあげたいことはなんといっても事例の多さです。
多くの事例を用いてどのように行動するべきかが書かれているので、自分にあった内容を選び取ってすぐに行動に移すことができます。
また全14章の各タイトルはマックスの言葉になっており、生き方のヒントとなる言葉がいくつも散りばめられています。そのときどきで刺さる言葉が違い、その点も面白さの一つです。
今回はその中でも特に取り上げたい言葉をピックアップして、ご紹介したいと思います。
では早速内容を見ていきましょう。
遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る
最新の自己啓発本を読み、今までの自分の人生を省みた上で長期の目標を立てるも、なかなかうまくいかない…
そんな方にはアップル・コンピューター第一号をつくったスティーヴ・ウォズニアックの事例がヒントになるかもしれません。
ウォズニアックは世界を変えたかったわけでも、大企業のトップになりたかったわけでもなかったのです。
大きな目標はなく、ただ自家製コンピューター・クラブの仲間に自慢したかっただけ。
それが結果大きな成果を生み出している。
要するに、”ただ、遊び感覚で色々やって、成り行きを見守ろう”ということです。
成功する人たちは、自分がどこへ向かっているか分かっていないという事実があるということを知っているだけでもいつもと違うアプローチができそうです。
目標も立てず、ただ遊び回ればいいの?!と混乱してしまった方へ、マックスは他の言葉も用意しています。
毎日毎日、違う自分になること
長期の目標に否定的なマックスにも、たった一つだけ目標があります。
それが”毎日毎日、違う自分になること”です。
どういうことかというと、”試す”ことを続けるということです。
とにかく手当たりしだいに、あっちにぶつかりこっちにぶつかりしながら試行錯誤を繰り返すこと、これが毎日違う自分になるという意味です。
日々何かを試すということはとても大変なことだけれど、そうして過ごしているうちに偶然はやってきます。
”空前のヒット商品”であるコカ・コーラ、リーバイス、チョコチップ・クッキー。
どの事例も”偶然の出来事”から生み出されたもので、さまざまなことに目を向けて注意を払い始めたら、ありとあらゆるところに偶然が転がっていると教えてくれます。
コカ・コーラを生み出したジョン・ペンバートンも、リーバイスを世に出したリーバイ・ストラウスも皆、ぼんやり座っていてはいなかった。
偶然の出来事や失敗から、考え抜き、試し抜いたのです。
次はあなたの番です。
働いている日々の中で仕事上のミスから、ストレスを抱える仕事内容から、新しい試みが見えてくることはないでしょうか。
あらゆる小説、テレビ番組、コマーシャル…目につくさまざまなことから、新たな組み合わせを見つけて今とは違う可能性を生み出すことができるかもしれません。
あるべき状態より、良くあること
いろいろ試して、毎日違う自分になること。
ここで大切になるのは、”あるべき状態より、良くあること”です。
フルート奏者ジャン・ピエールの言葉を借りるなら”完璧より良く”ありたいということで、どこまでも完璧はなく、より良いものを求め続ける姿を指します。
自分にとってより良い働き方は何か考え抜き、試す。
うまくいったとしたら、さらに良くするためには…と考えて試す。
その中で上司や同僚に提案したり、考えを聞いたりしてみる。
すると身の回りの物事からだけでなく、人を通してもアイディアは自分の元へ飛び込んでくるようになるのです。
良い循環が生まれると、いつの間にか以前とは違った仕事を任されるようになったり、大人になって初めて心から生き生きと過ごせるようになっていたりするかもしれません。
本書のまとめ
デイル・ドーテン氏の『仕事は楽しいかね?』は、「なんとなく今の仕事を続けているけれど、誇れようなこともなく、何も達成していない」「新しい働き方を見つけたいけれど、仕事を変えるにも妻子やローン、その他諸々の義務を抱えて一歩が踏み出せない」という方へ、生きるヒントを与えてくれる本です。
マクドナルド、3M、P&G、コダックなど大手企業を顧客に持つマーケティング・リサーチ会社を起業したデイル・ドーテン氏だからこそ語れる言葉や事例は大きく私たちの心を揺さぶります。
多くの事例を通して見えてくるのは、今までと違った物事の捉え方や見方、アプローチ方法。
その根底を流れるのは、いつでも完璧のその先を目指し、試し続けるという生き方。
本書を読み進めるたびに、常識にとらわれないたくさんの言葉と出会うことができますよ。
ただなんとなくこなしていた仕事も、生き方までも自分次第で少しずつ変えていけます。
今回ご紹介した3つの言葉。
「遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守ること」
「毎日毎日、違う自分になるということ」
「あるべき状態より、良くあること」
この他にも、「成功とは、右に倣えをしないこと」「もし宇宙が信じられないような素晴らしいアイデアをくれるとして、きみはそれにふさわしいかね?」「完璧とは、ダメになる過程の第一段階」など、はっとする言葉が盛り沢山です。
すべての章が繋がってゆき読み終わったあと、そっと背中を押してくれます。
今ある悩みに合った答えがどうか見つかりますように。
気になった方は、ぜひお手に取って読んでみてくださいね♪