【書評】マインドセット「やればできる!」の研究

『マインドセット「やればできる!の研究」』はキャロル・S・ドゥエック氏による一冊。

著者はパーソナリティ・社会心理学・発達心理学・成功心理学の世界的な権威であり、イエール大学で心理学博士号を取得後、現在はスタンフォード大学で心理学教授を務めています。

あるとき著者は、つまずくことを失敗だと考えずに目を輝かせて難題に取り組む子どもたちを見て驚きました。

失敗やつまずきそのものを楽しむ人間と、失敗をしたら落ち込んでしまう人間がいる。

その差はどこにあるのか。

20年にわたる研究から明らかになったのは、人々の人生を支配する2つの異なるマインドセット(心のあり方)の存在でした。

どちらの説を信じるかによって、その後の人生に大きな開きが出てくるということが分かったのです。

もし今、あなたの可能性を充分に発揮できずにいるとしたら、その原因はマインドセットにあると言っても良いかもしれません。

様々な分野の科学的根拠と実例を用いて、学問、芸術、スポーツ、ビジネスの分野で偉大な功績をあげた人と、あげられなかった人の違いを紐解いていくので、納得しながら自分と照らし合わせて読み進めることができます。

またマインドセットの働きをよく理解した上で、変えたい場合にはどのようにすればよいのかが記されているので、すぐに実践することができます

自分自身だけでなく家族、同僚、チームメイト、友人…あらゆる人の可能性を最大限に引き出す方法を学んでみませんか。

教育やスポーツ、ビジネスに携わる方にとって必読書と言われる本書ですが、どんな立場の人でも大きな学びを与えてくれる本です。

今回は中でも特に取り上げたい事柄をピックアップして、ご紹介したいと思います。

では早速内容を見ていきましょう。

2種類のマインドセット

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Photo by Alex Green on Pexels.com

マインドセットには「こちこちマインドセット」「しなやかマインドセット」の2種類があります。

こちこちマインドセット

「こちこちマインドセット」の人は、自分の能力は固定的で変わらないと信じています。

その能力に欠陥があるなんて自分でも思いたくないし、人からも思われたくないので、ことあるごとに自分の知的能力や人間的資質の有能さを示さずにはいられないのです。

しくじらずにうまくできるだろうか、賢そうに見えるだろうか、バカと思われやしないか、認めてもらえるだろうか、突っぱねられやしないだろうか、勝ち組でいられるだろうか、負け犬になりはしないかと、いつもびくびくしています。

失敗して無能な自分を晒すぐらいなら、できることをいつまでも繰り返して有能な自分でいる方が安心なのです。

しなやかマインドセット

「しなやかマインドセット」の人は、自分の能力は努力次第で伸ばすことができると信じています。

もって生まれた才能、適性、興味、気質は一人ひとり異なるけども、努力と経験を重ねることで、誰でもみな大きく伸びていけるという信念を持っています。

現時点の能力が不本意なものであったとしても、ありのままを受け入れて前向きにチャレンジすることができます。

失敗から学んで次に活かすことで能力を伸ばしていくことに喜びを感じるのです。

可能性を最大限に引き出す

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Photo by Andrea Piacquadio on Pexels.com

子どもや部下、夫、妻…誰かに自信をつけてもらいたいとき、やればできるという気にさせたいときにほめる必要があると思っている人は多いのではないでしょうか。

それが定着してしまうと失敗を恐れるあまり挑戦することができず、逆に成長を止めてしまいます。

実はそこには危険が潜んでいると著者は言います。

危険なほめ方は人を「こちこちマインドセット」へと導いてしまうのです。

自分や相手の可能性を限界まで引き出すためには、どのようにほめると良いのでしょうか。

可能性を潰すマインドセット

子どもに「頭がいいのね」「早く解けたのね」と言って能力や結果をほめると知能が下がることが実験で明らかになっています。

このほめ方は、「重要なことは能力があるかどうか」「成績から潜在能力までもわかる」というメッセージを送ることと同じです。

そうなるとその子にとって重要になるのは「能力があるかどうか」ということになります。

なのでボロを出して自分の能力が疑われるような難しい問題や新しい問題に取り組まなくなります。

「こちこちマインドセット」が形成されてしまうと、能力あることを示すことに必死になり、失敗を恐れて挑戦することを拒むために自らの可能性を潰してしまうのです。

可能性を引き出すマインドセット

逆に「頑張ったのね」「努力したのね」と、努力した過程をほめられた子どもたちは知能が上がるという研究結果も出ています。

その子が重要視することは「努力すること」になります。

たとえ難しい問題や新しい問題でも、努力すること自体に価値があるので進んで取り組むようになりました。

また努力することで自分の能力が伸びるということを経験して学ぶので、たとえ失敗したとしても落ち込まずにさらに努力を重ねればできるようになると思えるようになります。

「しなやかマインドセット」が形成されると、一生懸命に取り組むことに価値を見出し、つまずくことがあっても前向きに挑戦することができるようになるため自らの可能性を引き出すことができるのです。

芸術的才能は生まれつき?

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Photo by Fallon Michael on Pexels.com

知能は訓練しだいで伸ばせると言われると、そうなのかもしれないと多少は納得できるかもしれません。

では芸術的才能はどうでしょうか。

例えば、絵を描くのが上手な人は生まれつきその才能があったからだと思いませんか。

しかし著者は”だれでも芸術的才能を伸ばすことができる”と言います。

その理由として引用したのは、カルフォルニア大学の教授ベティ・エドワーズの著書『脳の右側で描け』です。

脳研究にヒントを得て短期間に写実的な画が描ける独自の指導法を開発し、実際にその指導法により受講生の上達していく姿が紹介されています。

このことを例に挙げて、著者は断言しています。

訓練をほとんど、あるいはまったく受けてなくてもできてしまう人もいるが、だからといって、それ以外の人は訓練を受けてもできないというわけではない(場合によっては、もともとできた人よりもはるかにうまくできるようになる)。

人の能力はどれも決まったものでも、固定されたものでもないのです。

知能だけでなく芸術的才能も固定されたものではなく、訓練や経験次第で伸びるという「しなやかマインドセット」。

今現在うまく描けていないという結果(初期作品)から、もともと芸術的才能もなく、これからもうまく描けることはないと考えてしまうのが「こちこちマインドセット」。

どちらの捉え方で生きていくかは自分次第です。

”人は変われる”という著者の言葉は、今の能力だけを判断して諦めてしまったり、失敗しては落ち込んでしまったりする人に、別の生き方があることを教えてくれます。

一生懸命努力して技能を磨けば能力は伸びる、結力を注いでいることそれ自体に価値があるという「しなやかマインドセット」で生きることができれば、今見ている世界はまったく違ったものになるかもしれません。

本書のまとめ

パーソナリティ・社会心理学・発達心理学・成功心理学の世界的な権威、キャロル・S・ドゥエック氏の『マインドセット「やればできる!の研究」』は、「マインドセット」によってその後の人生に大きな開きが出ることを明らかにしました。

マインドセットとは、「心のあり方」のことです。

「こちこちマインドセット」「しなやかマインドセット」の2種類あり、前者は自分の能力は固定的で変わらないと考え、後者は自分の能力は努力次第で伸ばすことができると考えます。

「こちこちマインドセット」が形成されると、能力あることを示すことに必死になり、失敗を恐れて挑戦することを拒むために自らの可能性を潰してしまいます。

「しなやかマインドセット」が形成されると、一生懸命に取り組むことに価値を見出し、つまずくことがあっても前向きに挑戦することができるようになるため自らの可能性を引き出すことができると考えます。

著者は”今、あなたがどちらの説を信じるかによって、あなたの未来は大きく変わってくる”と言います。

20年にわたる研究や様々な分野からの科学的根拠に基づく研究結果、実例を見ていくうちにその言葉を現実のものとして実感することができます。

さらに実践方法も書かれているので、だれでもすぐに行動に移すことができます。

もし今、あなたの可能性を充分に発揮できずにいるとしたら、その原因はマインドセットにあると言っても良いかもしれません。

ビジネス・スポーツ・恋愛・友人・人間関係、生きていく上でのすべてに影響を与える「マインドセット」の存在を一度考えてみませんか。

だれもが自分自身の可能性を最大限に引き出せますように。

気になった方は、ぜひお手に取って読んでみてくださいね♪

この記事を書いた人

玉置 正和

奈良のfreee認定アドバイザー税理士です。
大手税理士法人を退職後27歳で開業しました。
おすすめのITツールはfreeeとGoogle WorkspaceとnotionとIntegromatです。
会計税務のデジタル化に関する役立つ情報を発信します。