『人望が集まる人の考え方』は、心理カウンセラーであり、累計500万部突破ベストセラー作家のレス・ギブリン氏による一冊です。
本書は1956年にアメリカで出版されて以来、世界各国で半世紀を超えてもなお読み継がれています。
年代関係なく読者に支持される理由は、人間の普遍的な原理が書かれているからではないかと思います。
著者はすべての人は成功と幸福を求めている(その意味は千差万別とも書かれている)とし、その最大の要素は人間関係の技術だと言っています。
仕事場や家庭など、日々の大半を過ごす場で人間関係の悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。
「顧客との取引きがうまくいかず業績が伸びない」サラリーマン
「従業員とうまくいかず、経営が難航している」経営者
「関係がギクシャクしている」夫婦
「子どもが言うことを聞かなくて困っている」両親
このような他者との関わりにおける悩みの解決の糸口となるのが、本書に紹介されている”人間の習性に対する正確な理解に基づいた実用的なノウハウ”です。
本書の魅力は、人間の習性を詳しく説明する際に多くの専門家の研究や実例、言葉が盛り込まれているという点です。
心理学者をはじめ、多くの離婚訴訟を扱う弁護士、家族関係の第一人者、実業家、経営コンサルタント、全米屈指のセールスマン、職業安定所所長、大勢いる筆者のセミナー受講生…
他にも産業心理学や言語研究センターと海軍の共同研究まで紹介されています。
小手先のテクニックでは太刀打ちできなかった悩みに、今一度向き合ってみませんか。
今回は中でも特に取り上げたい事柄をピックアップして、ご紹介したいと思います。
では早速内容を見ていきましょう。
人と関わる3つのパターン
自分一人で生きていける人はいません。
誰しもが人と関わって生きているのですが、その関わり方の基本的なパターンが3つあると紹介されています。
- 求めているものを相手から奪い取る
例えば、相手を脅して恐れさせる。犯罪者が典型だが、社会的地位が高い人もこのやり方を巧妙に使っている。 - 求めているものを与えてもらうために媚びへつらう
その卑屈な心理状態を端的に表現すると、「どうかお願いですから、おめぐみください」となる。 - ギブアンドテイクの精神で公平な交換をおこなう。
相手が求めているものを与えることによって、相手はお返しをするために、あなたが求めているものを与えてくれる。
本書では1と2の関わり方は関係なく、扱うのは3のみです。
つまり相手が求めているものを与えることによって、自分が求めているものを手に入れる方法を紹介しているということです。
実は私たちは今、他者の求めているものをふんだんに持っています。
それは何かを正確に理解することで、人と関わる技術を表面的なテクニックにとどめることなく効果的に使うことができます。
本書には”人が他者が求めていること”について詳しく書かれています。
どう関わるのかではなく、どうしてそのように関わるのかを知っていれば本書に載っていないことでも自分で考えて応用できるのではないでしょうか。
すべての人が他者に何かを求めている
著者はその答えをこのように述べています。
すべての人は自分の自尊心を満たしてほしいと強く思っている。
自尊心の意味を調べてみると、「自分で自分のことを誇らしく思う心。簡単にいうと、自分への高評価。」とありました。(新語時事用語辞典より)
人は他者と関わることによって自分を好きになりたい、平たくいうと自分って結構いいかも!と思いたいものなのです。
その願望がある程度満たされて初めて、人々は自分のことを「忘れ」、他人に意識を向けることができる。
また、自分が好きになって初めて、人々は他人に対して友好的になることができる。
この事実こそ普遍的な人の原理といえます。
人間関係の最重要ポイントは、「人々はたいてい自分の自尊心を満たすために行動する」ということなのでこの点をいつでも思い出しながら読み進めてほしいと筆者は述べています。
日々の生活でこの人とうまくいかないなぁと悩んだとき、あなたはその人に何を望んでいますか?
商品を買ってほしい、きちんと仕事をこなしてほしい、仲良くしてほしい…
相手になんらかの行動をとってほしいなら、まずはその人の自尊心を満たす方法を実行してみましょう。
難しく考えず、相手が自分自身をより好きになれるような関わり方ってなんだろうと考えてみると良いと思います。
人々をひきつける3つの条件
相手の自尊心を満たすために、つまり自分自身を好きになれるよう手伝うためには、相手が何を求めているのかを把握しておく必要があります。
そこで、ここでは”人間の3つの基本的欲求”と一つの事例を紹介したいと思います。
3つの基本的欲求
この基本的欲求は「友情をはぐくんで相手を味方につけるための3つの条件」と言い換えることができます。
自分に当てはめると、確かに自分にもこういう欲求があるなと納得できると思います。
3つの欲求と、イメージしやすいようにそれぞれにごく簡単に具体的なアプローチ方法をまとめました。
- 誰もがあるがままの自分を受け入れてほしいと強く思っている
自分らしく振る舞う権利を相手に与えよう。 - すべての人が自分を認めてほしいと強く思っている
相手の気づかないような長所を見つけて伝えよう。 - すべての人は自分を尊重してほしいと強く思っている
相手を待たせない、感謝する、特別扱いしよう。
より確実に取り組みたい方は、本書を読んでから行動に移すことをおすすめします。
次に、「すべての人が自分を認めてほしいと強く思っている」ということについて、相手を認めるとはどのようなことか事例を見ていきましょう。
手に負えない子どもを更生させる方法
これはある心理学者のもとに「手に負えない」というレッテルを貼られた少年が連れてこられたときの話です。
その少年の父親から「他の子どもと違って、この子には長所と呼べるものが一つもありません」と聞かされた心理学者は、その言葉を聞いて少年の中に認めるべきものを探し始めました。
彫刻が大好きだということに気づき、彫刻の道具と柔らかい木材を渡してしばらく様子を見てから「素晴らしいね、君は彫刻がとても上手だ」と言いました。
その後いくつかの長所を認めたところ、少年は言われなくても自分から部屋をきれいにしました。
その理由を尋ねると「部屋をきれいにすれば、もっと認めてもらえると思った」と答えたそうです。
相手を認めるということは、相手の欠点を辛抱することを超えて、積極的に長所を見つけることです。
認めるべきものに焦点を当てるので長所を引き出すことができ、その相手は他の資質も伸ばそうと努力をするようになります。
自分でも思ってもみないような長所を見つけてくれて、それをきちんと自分の言葉で伝えてくれる人がいたら自分のことを好きになれそうですよね。
自分っていいかも!と、ほんの少しでも思うことができたなら、その分心の余裕も生まれて相手のことを思いやることができます。
これが、相手が求めているものを与えることによって、あなたが求めているものを与えてくれるということなんですね。
お互いに自尊心を満たすことのできる心地の良い人間関係を築くことができれば、仕事もプライベートも充実していきそうです。
本書の「おわりに」には、「あなたの人間関係を改善し、成功と幸福を手に入れるまで本書は完成しない」という旨が書かれています。
それぞれが思い描く成功や幸福に向かって進んでいきたいですね。
ここでは一つしか具体例を紹介できませんでしたが、それぞれの欲求に対して分かりやすい説明と事例が書かれているので是非読んでみてくださいね。
本書のまとめ
心理カウンセラーであり、累計500万部突破ベストセラー作家、レス・ギブリン氏の『人望が集まる人の考え方』は、「人間関係を改善し、成功と幸福を手に入れるのを手伝う」ことを目的とした一冊です。
すべての人は自分の自尊心を満たしてほしいと強く思っている
相手の自尊心を満たすことで、自分が求めている物を手に入れる方法を事例と共に詳しく説明されています。
今回は”人をひきつける3つの条件”を紹介しました。
- 誰もがあるがままの自分を受け入れてほしいと強く思っている
自分らしく振る舞う権利を相手に与えよう。 - すべての人が自分を認めてほしいと強く思っている
相手の気づかないような長所を見つけて伝えよう。 - すべての人は自分を尊重してほしいと強く思っている
相手を待たせない、感謝する、特別扱いしよう。
表面を取り繕う方法でなく、”人の習性”に対する正確な理解に基づいた実用的なノウハウの数々は、今ある悩みをきっと解決へと導いてくれます。
また多方面から集めた専門家の研究や実例、言葉が盛りだくさんなので、納得しながら読み進めることができます。
今回ご紹介した内容の他にも「自分の隠れ資産を有効に使う方法」「相手によい第一印象を与える方法」「相手の全面協力を得て成果を上げる方法」など興味深い内容がたくさん盛り込まれています。
最後には「自己分析チェックリスト」などがあり、実際に行動できるようになっているのも嬉しいです。
みなさんが自分なりの成功と幸福を手に入れることができますように。
気になった方は、ぜひお手に取って読んでみてくださいね♪